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戸出化成

同僚と力を合わせて、社会に役立つプラスチック製品を。

会社の雰囲気に惹かれて

 北陸自動車道・高岡砺波スマートICから約1分という好立地に本社工場を構える「戸出化成」。プラスチックという素材の可能性を追求する、ものづくり企業だ。約60台もの射出成形機を有し、プラスチック射出成形工場単体としては北陸最大級の規模を誇る。

 本社工場内は、広く明るく清潔な空間。その快適な環境で働く糸氏勇也さんは、進学先の名古屋から富山へUターン就職した。経営学部という文系出身でありながら、ものづくりの道に進んだきっかけは、自身のルーツを改めて辿ったことにある。

 「就活にあたって、自分が何に向いているのかを考えたんです。その時に浮かんできたのが、祖父でした。高岡で砂型の鋳造業を営んでいたので、小さい頃からものづくりの現場を見せてもらっていたんです。ものづくりが盛んな富山に戻って、自分もものづくりの現場に携わりたいなと思うようになっていきました」

 富山の製造業に絞って就活に取り組んだ彼は、「実際に目で見て話を聞かないと、会社の雰囲気や仕事内容がイメージできないだろう」と、積極的に会社見学に参加。約10社は足を運んだという。そうした中、合同企業説明会で同社を知り、会社見学会に赴いたことが、入社のきっかけだ。

 「入社の決め手は、会社のアットホームな雰囲気。自分に合っているなと思いましたし、そこで働いている自分の姿が想像できました。また、社員の方々の優しそうな人柄にも惹かれました」。同社社員の8〜9割は、富山県民。実際に入社してからは、地元の話で盛り上がれることも、同社で働く喜びのひとつとなっている。

富山県出身。名古屋の大学を卒業後、富山の企業に就職した糸氏勇也さん。「誕生月にプレゼントがもらえることも、ここで働くちょっとした幸せです」
富山県出身。名古屋の大学を卒業後、富山の企業に就職した糸氏勇也さん。「誕生月にプレゼントがもらえることも、ここで働くちょっとした幸せです」

暮らしの中の、身近なものづくり

 「自分が携わった製品が世の中の役に立っていると思うと、やりがいを感じますね」と微笑む糸氏さん。今、彼が製造1課で手がけているのは、主に建材業界や車両業界で使われる樹脂部品だ。その部品とは、窓のハンドルやサッシのストッパー、自動車のバッテリーのカバー、バスのドリンクホルダーなど、私たちの身近にある製品が多い。

 数々の製品を生み出すために、30tonから560tonまで大小約60台の射出成形機を使い、高温で溶かした原料を金型の中に流し込んでいく。だが、硬い材料を使う場合はその流れが悪くなり、品質にばらつきが出ることもある。
 「常に考えていることは、質のばらつきをどうやって抑えるか。それを自分で考えて工夫した結果、不良数が少なくなった時にもやりがいを感じます。同時に、自分の成長も感じますね」

 問題にぶつかった時には、自力で乗り越えるのではなく、上司や先輩、同僚に相談しやすい環境であることも同社の特徴だ。「今は安定しない製品の課題を一つずつ解決している段階ですが、まだ知らないことの方が多いので、これからも勉強していかなければいけません」と糸氏さん。風通しの良い環境は、社員の向上心を高める。

 糸氏さんは、入社してすぐ今の部署に配属されたわけではない。1年半は、在庫・納期の管理とお客様窓口を兼ね備えた生産管理課に配属された。「生産から納品までの工程を理解しなければいけなかったので、全体的な仕事の流れを把握できたことがよかったですね」。この経験も、高品質を求める今の姿勢につながっている。

チャレンジできる職場環境

 「製造1課に所属した当初は、先輩がつきっきりで一から教えてくれました」。その言葉どおり、同社は文理問わず、しっかり丁寧に人材を育成する会社である。糸氏さんは、着実に知識や技術を身につけ、2021年には各種プラスチック製品の成形に必要な技能を国が認定する資格「プラスチック成形技能士」を取得した。射出技能検定にまつわる費用は1回まで会社が負担するほか、朝礼での表彰、資格手当の支給など、さまざまなメリットを得られる。「検定を受けるにあたって、基本的な知識や動作の大切さを改めて実感できたことが良かったです」

 日々の仕事では、製造の基礎を大切にしながら、冒険心も忘れない。成形機には、仕分けをする機械がついている。その機械の部品を1つ1つ組み立て、仕分けをするタイミングなどの設定を入力することも、彼の役割だ。だが、単にオペレーターとして入力しているだけではない。
 「設定に要する時間を短くするために、自分たちで製品専用のアタッチメント部品を作っています。これは同僚と一緒に提案し、相談しながらやっているんですよ。これからもアタッチメント部品を増やしていきたいですね」

 実は糸氏さんは、小学4年生〜高校3年生までバスケットボールをしていた。チームスポーツを長く経験してきたことも、同僚とのコミュニケーションやチームワークづくりに役立っているのだろう。そして、そんな彼の背中を押しているのが社風である。
 「当社は、風通しがいいだけでなく、社員のやりたいことを自由にやらせてくれる会社です。これからはさまざまな知識や技術を身につけて、新しいことにどんどんチャレンジし、後輩や先輩から尊敬される人になっていきたいですね」。社員の思いを尊重し、やる気を高める同社だからこそ、目標に向かってまっすぐに突き進める。