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北陸コンサルタント株式会社

自然と共存しながら
地域社会を支える仕事。

コロナ禍で様々な制限がある中での就活

 大学で土木工学を専攻。都市計画や測量調査などインフラ整備に関わる様々な知識を習得した宮口知也さん。これまで学んだことを生かせる仕事に就きたいと思い、県内の建設会社やコンサル会社などを調べた。
 「就活を始めた矢先に新型コロナウィルスの流行が拡大し、様々な行動が制限されました。思うような就活ができなかったのですが、何とかいくつかの企業のインターンシップに参加し、会社の雰囲気や仕事風景を見学しました。先輩社員と対談し、具体的な仕事内容を聞いたりもしました」と宮口さん。

 「何社かを比較検討した中で、魅力を感じたのが当社でした。自分は建設会社に入って現場で働くより、設計を考えたりCADを操作したりする方が向いていると思ったからです。当社はインターンシップに参加した際、担当スタッフの対応が良く、職場の雰囲気もいい感じでした。また、週休2日で有休取得率が高いといったワークライフバランスの良さにも納得。ここで働いてみたいと思い、入社を決めました」  

 コロナ禍での就活で、気苦労も多かったが無事、内定を得ることができた宮口さん。しっかり休めることや職場の雰囲気が良いことも会社選びの大きなポイントだったという。

「先輩たちが丁寧に教えてくれるので仕事に慣れるのは早かったです。オフも満喫しています」と公私ともに順調な日々を送る宮口知也さん。
「先輩たちが丁寧に教えてくれるので仕事に慣れるのは早かったです。オフも満喫しています」と公私ともに順調な日々を送る宮口知也さん。

仕事全体を俯瞰で見る事の大切さ

 設計部は工事内容によって大きく3つに分かれており、第一課が橋梁や道路、トンネルなど、第二課が砂防ダムや河川、そして第三課が都市計画や公園や街路、上下水道を担当している。宮口さんは砂防関連工事を担う第二課に配属された。
 入社して数カ月間は、先輩に指示に従ってCADで図面を起こしたり、調査を手伝ったりした。本格的な業務に就いたのは7月から。常願寺川と早月川の砂防設備の長寿命化計画策定委託業務を担当することになった。社内で情報収集し、現地調査に行ってデータを集め、報告書をまとめるというものだ。

 「現地調査は河川の上流にある砂防設備に行くのですが、そのほとんどは道のない山の中にあります。先輩と朝8時30分頃に会社を出て、1時間以上行ったところにクルマを停め、そこから現地まで遠いところでは2時間歩きます。着いたら調査器具を使って亀裂や割れ、ひずみなどの有無を調べます。終わったらまた2時間歩いて戻り、1時間以上クルマに乗って帰ってきます。ハシゴを使って登る急斜面があったり、ストックで体を支えながら降りる場所があったりで、慣れるまでは毎日が筋肉痛でした。これが2カ月続きました」と当時を振り返る宮口さん。

 「確かに厳しい毎日でしたが、辞めたいとは思いませんでした。ベテランの先輩と長時間過ごし、いろんなことを教わりました。『今やっていることだけでなく、先を見ながら行動しろ』とか、『周りの状況を考えろ』とか…。例えば、今週末は天気が崩れる予報が出ているから、今日は余裕をもってここまでやっておこうという考え方ですね。去年まで学生だった自分は、その場その場というアバウトな性格だったので、すごく勉強になりました」と宮口さん。
 山深い砂防ダムでの現地調査は、宮口さんを社会人として大きく成長させてくれた2カ月間だったようだ。

早くから任せてもらえる社風

 今年は2年目になる宮口さん。もし今、大学の後輩がOB訪問で訪ねてきたら、どんなふうにこの会社をPRするのだろうか…?
 「大企業の場合、新人は仕事の一部分にしか携われないことがほとんどです。でも、当社は新人でも早いうちから一つの業務の始めから終わりまで任せてもらえるので、全体の流れを理解できるし、技術的にも早く成長できます。サポート体制がしっかりしているので、質問すれば的確なアドバイスがもらえる環境。早く一人前になりたいと思っている人にはおすすめの職場だと思いますよ」

 現在の目標は、RCCM資格(Registered Civil Engineering Consulting Manager)を取得すること。これは「建設コンサルタンツ協会」の民間資格で、業務の管理技術者・照査技術者として非常に重要な資格なのだそうだ。
 「私の部署には今、先輩が5人いますが、それぞれ得意分野があって、それぞれ尊敬できるところがあります。今は先輩方のいいところをどんどん吸収し、経験を積みながらスキルアップし、30歳頃にはRCCM資格を取得したい。そして、後輩から頼られる存在になりたいです」と展望を話す。

 コンサルタント業務は発注者の要望、景観との調和、工期の短縮、コストバランス、さらには環境負荷の軽減や長寿命化、メンテナンス性など多くの課題と向き合いながら自身の思いを形にしていく仕事だ。簡単な仕事ではない。これからも大きな壁に阻まれるかもしれない。それでも宮口さんは「地図に残る仕事がしたい」という野望を叶えるために今、目の前にある仕事と真摯に向き合っている。

「今年は2年目。専門性を高めたい」と話す宮口さん。設計には複雑な構造計算が必要。専用の計算機を活用している。
富山市黒瀬にある社屋。最近はドローン調査も数多く手掛けている。