シゴト地図

キタムラ機械株式会社

自分軸を大切にしながら、
世界で羽ばたきたい。

海外拠点のある企業をリサーチ

 大学で経営学を専攻。ゼミでは製造業の生産管理を学び、メーカー営業職への就職を希望した東野さん。「北陸は製造業が盛んな地域なので、業種を問わず営業職の求人を探しました。」と話す東野さん。だがそこにはもう一つ、「海外に拠点がある企業」という条件があった。海外で働きたいという思いがあったからだ。

 きっかけは小学4年生の秋、ニューヨークを訪れた時のこと。父に連れて行ってもらった自由の女神やタイムズスクエア、ブロードウェイ、そして父の職場で体験した現地スタッフとの交流は強烈なインパクトとなって東野さんの脳裏に刻まれた。中学時代には、日系企業の欧州拠点がひしめき合うデュッセルドルフ(ドイツ)を3度訪問。アメリカとは違ったヨーロッパの歴史や文化に触れ、多くの刺激を受けたという。
 「そのときに海外で活躍することに憧れを持ちました。外国で現地の人たちと交流したことが楽しかったです。以来、自分もいつか海外で働いてみたいという夢が膨らみ、高校時代はそれまで苦手だった英語の勉強もするようになり、テネシー州に語学留学したりオーストラリアを一人旅したりしました。」

 海外拠点のあるメーカーの営業職。この条件で絞り込んだ先に見つかったのがキタムラ機械だった。シカゴ、デュッセルドルフに営業・サービス拠点を構え、世界中の販売代理店と提携する工作機械のトップメーカーである。夢を叶えるステージとしては申し分のない職場…。そう確信し、東野さんは入社を決めた。

 「欧米に拠点を持つBtoBメーカーで営業をしたい」と、キタムラ機械に入社した東野さん
「欧米に拠点を持つBtoBメーカーで営業をしたい」と、キタムラ機械に入社した東野さん

営業部配属と同時にコロナ禍に

 入社1年目は現場実習からスタート。主力製品であるマシニングセンタの商品知識や部品の組み立て方を学んだ。その後生産管理部門に異動し、機械の不具合に応じたメンテナンス法を紹介する動画制作に携わった。
 「機械を知らない新人ができるのかなと思いましたが、機械に詳しくないお客様でも自ら復旧できるよう、そのサポートとなる動画を作るには適任でした。構造や仕組みを学ぶことは勉強になりました。」と東野さん。

 2年目の春には、念願の営業部に配属。海外拠点での仕事も視野に入れ、本格稼働した矢先、新型コロナウイルス流行拡大に見舞われてしまった。東野さんは社外での営業活動ができず、当面は新規顧客獲得を目指したマーケティング活動を開拓。既存顧客や見込み顧客に製品の特長や、ものづくりのこだわりについて自分たちで作成した動画を送付したり、海外の代理店とリモートミーティングをしたりしながら販路拡大に励んだ。

 「シンガポールの代理店スタッフとは英語で会話しています。最初はぎこちなかったのですが、何度かリモートミーティングを重ねるうちに徐々に互いの思いを汲み取れるようになっていきました。最近は仕事以外のコミュニケーションも活発になり、先日は雪景色の写真を送るとすごく喜んでくれたりしました。世間ではいろんなことが制限されてもどかしい毎日ですが、自分としてはじっくり考えたり、コミュニケーション能力を磨いたりする時間が持てました。加速度的に変化するこの時代に対応する力をつけたいと思います。」と東野さん。

 そんなコロナ禍が少し落ち着いた昨年4月、東京ビッグサイトで開催された展示会に参加することに。東野さんは会場設営からパネルの作成、期間中の接客対応までをメインの一人として担当することになった。
 「自分としてはほぼ初めての接客対応。充実した6日間でした。お客様のニーズを拾い上げたり、業界の動きをキャッチしたり…。小さなトラブルはありましたが、たくさんの方の協力をいただき、無事終了することができて大きな達成感を感じました。」

営業スキルを磨きたい

 「これまでお客様と直接お会いする機会が少なかったので、営業経験が足りないのが課題。今年の目標としては、わかりやすい資料を揃えたり、段取りを考えたりアプローチの仕方を探ったりしながら実践を積み、自分らしい営業スタイルを確立していきたいと思っています。」と東野さん。

今年1月には、日本工作機械販売協会の認定資格も取得した。「国内で営業スキルを磨き、30歳を迎える頃にはデュッセルドルフに駐在していたいです。できるだけ若いうちに海外に出て、いろんな経験を積みたいです。」と微笑む。
 東野さんが見つめる未来予想図には、ドイツ語や英語、日本語が行き交うデュッセルドルフのライン川のほとりに美しい街並みが広がっている。