シゴト地図

マルエツ電機株式会社

こんなことにも挑戦できた、
自分の意外性に驚いています。

事務職に就くつもりだったけど…

 短大の経営情報学科に進学し、エクセルやワードなどのパソコン操作や簿記の知識を習得。2年生の春からスタートさせた就職活動では一般企業の事務職を希望した立浪里香さん。
 「まわりの友達と一緒に事務系の仕事に就くだろうと思っていましたが、合同説明会でいろんな企業を見るうちに、製造業の仕事も面白そうだと思い始めました。父がゴム関連製品の工場、母がクルマ部品の工場で働いていることもあって、モノづくりに親しみがあったからかもしれませんね」と立浪さん。

 機械メーカーや部品メーカーなどを調べる中で、自宅から通勤できそうだと思い、見学に訪れたのがマルエツ電機だった。社内は和やかでアットホームな雰囲気。部品や工具がきちんと整理され、掃除が行き届いた工場にも好印象をもった。具体的な仕事の詳細は把握できなかったが、まずは職場の雰囲気に惹かれた。

 「今の直属の上司にあたる方が面接をしてくれました。志望動機や志望部署を聞くのではなく、学校生活で打ち込んだことはどんなこと?とか、休みの日はどんな風に過ごしている?とか、今興味があることは?といった質問をされ、親近感を覚えました。一緒に働いてみたいと思いましたし、会社の雰囲気も気に入ったので入社を決めました」

「どの先輩も、私の今のレベルに合わせて教えてくれます」と立浪さん。プライベートでは父親と一緒にマラソンを楽しんでいる。富山マラソンにも2回出場し、完走!
「どの先輩も、私の今のレベルに合わせて教えてくれます」と立浪さん。プライベートでは父親と一緒にマラソンを楽しんでいる。富山マラソンにも2回出場し、完走!

見本市のブース設営と接客を担当

 新人研修では、当社が製造している制御装置の基礎知識を学び、その後、実際に配線の手順なども実習していった。初めて学ぶことばかりだったが、立浪さんにとっては毎日が新鮮で、刺激的だったという。

 数カ月後には小さな制御盤の配線を手掛けるようになった。設計部から来た図面を読み解きながら、一つひとつ配線を組み上げていく。わからない点はすぐに先輩や上司に聞くことができるので、実践しながら技術を身につけていった。
 「思い通りに作業が進み、完成した時は達成感があります。自分が作った制御盤が今、どこかの工場で活躍していると思うと嬉しくなります」と立浪さん。

 入社1年目の秋には、富山テクノホールで開催された「ものづくり総合見本市」の出展ブースを担当することになった。来場者に配布するカタログを制作したり、パネルを作成したり…。当日はブースに立って接客対応もした。
 「当社が製造している制御装置は工作機械や自動車、ロボット、立体パーキングなど多岐に及びます。さらには新幹線や山手線の車両の安全装置など、かなり複雑な装置も製造しており、当然、新人の私がすべてを説明できるはずもなく、先輩に頼ってばかりでした。それでも来場者の方が私の説明を真剣に聞いてくださり、納得して帰っていかれた時はやりがいを感じました。同時にもっともっと勉強しなければ、と実感した2日間でした」

 2年目からはCADの操作法を学び、小さな制御装置の製造を一括して手掛けるようになった。クライアントの要望をもとに図面を起こし、機械を動かすためのプログラミングにも挑戦。いろいろな工具を使いながら配線を組み上げ、最終的に一つの箱に納め、検査を経て納品する。計画通りに進めるには、作業工程の管理や他の部署との連携が重要。立浪さんは日頃から先輩や上司とのコミュニケーションを密にし、意思の疎通を図るよう心がけている。

経験の数が品質の向上につながっていく

 「未経験で入社して3年あまり。与えられた仕事は何とかこなせるようになりましたが、まだまだ知識不足を感じます。今の目標は、設計から資材発注、プログラミング、組立、検査までを一人でこなせるようになること。同じ部署にいる女性の先輩はお客様の要望をきちんと把握し、一人で考え、一人で決断し、最後まで仕上げることのできる人。私と同じ文系出身ですが、知識も経験も豊富で憧れています。少しでも早く先輩に追いつき、何を聞かれても答えられる社員になりたいと思っています」と立浪さん。

 “将来は事務職に…”と漠然とした思いで短大に進学した立浪さんだったが、今は制御装置のシステムエンジニアリングに携わる技術者として、社内に欠かせない存在になっている。その成長ぶりは上司からも高く評価され、「もう大丈夫。私がいなくても」と言わしめているという。

 最後に、これから就職を考えている人たちへのアドバイス、メッセージなどをうかがってみた。
 「合同説明会では最初から業種や業態を絞り込まず、いろんな企業を見たらいいと思います。意外な業種に自分との接点を感じるかもしれないし、何だか面白そうって思える仕事があるかもしれない…。私自身、製造業の仕事に就くとは思っていませんでしたが、入社して本当にたくさんの経験をさせてもらって、毎日楽しく過ごしています。こんなことをやってみたい、チャレンジしてみたいという気持ちがあれば、どんな企業でも大丈夫なんじゃないかな」と微笑む。

 就職はキャリア形成のためのステージ。そして職場は毎日同じ仕事をする場所でなく、変化することや、進化することを楽しみながら成長していく場所だということを、立浪さんは見事に体現している。