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コンチネンタル株式会社

任された仕事を全うし
一人前の技術者を目指す

学生時代に学んだことを活かしたい

 佐渡さんは高校卒業後、北陸職業能力開発大学校に進学。生産電子情報システム技術科で、専門的な知識と高度な技能を身につけてきた。
 「学校では主にプログラミングを学びました。電子回路の基盤を作って、実際に機械を動かす実習もたくさん経験しました」と佐渡さん。卒業後は、学生時代の経験を活かして働きたいという思いがあった。

 就職活動では、富山県内で5社ほどの企業を比較検討した。「当時は車を持っていなかったので、電車や徒歩での移動が大変でした」と振り返る。
 コンチネンタルを知ったきっかけは、担任の先生の勧めだった。「とりあえず受けてみよう」と会社見学に参加。実際に現場を見て感じたのは、「機械の使い方さえわかれば、すぐに仕事を覚えられそう」という学生時代の経験に裏打ちされた自信だった。

 入社して約4ヵ月間は、社外講習として富山県技術専門学院へ通い、金属材料や溶接、製図といった金属加工の基礎的な知識と技術を学んだ。
 社外講習後は社内のOJT研修で、ブランク、プレス、機械加工、溶接という主要な4工程を、それぞれ2ヵ月ずつ経験した。
 「各工程で先輩に教えてもらいながら、実務を経験しました。機械の動かし方は、学校で使ったものと似ていると思ったのですが、似ているだけで中身は違ったり…。入社してから覚えることも多かったです。教わったことはメモをとりながら、少しでも早く覚えられるように頑張っていました」

入社3年目の佐渡さん。休日は自らプログラミングしたゲームをプレーするという、根っからの技術者だ。
入社3年目の佐渡さん。休日は自らプログラミングしたゲームをプレーするという、根っからの技術者だ。

作業効率アップで成長を実感

 1年間みっちりと研修を受け、迎えた入社2年目の4月。機械加工班に本配属が決まり、穴あけの工程を担当することとなった。「一通り研修で経験して、穴あけが覚えやすいと感じていました。自分の希望や適性を考慮してもらったのだと思います」と佐渡さん。
 実際に働くなかで、自身の成長を一番感じたのは皿もみ加工。皿もみ加工とは、皿頭形状のネジが板から飛び出さないように、すり鉢形状の穴をあける加工のことを言う。
 「ボール盤という機械に面取りドリルを取り付け、ネジが入る大きさに少しずつ板を削っていくんです。最初の頃は削りすぎないように、何度も穴の状態を確認して、慎重に作業していましたが、慣れてくると『ここまでは削って大丈夫』といった感覚が身についてきました」

 一つひとつの作業スピードも上がり、仕事環境にも慣れてきた頃。板金素材を部品形状に切り出すブランクの工程に、最先端のパイプレーザー加工機が導入された。するとブランク班に人員が必要となり、佐渡さんが異動することとなった。
 佐渡さんが抜擢されたのは、タレットパンチプレスと呼ばれる機械を使って板の加工をする作業。時々、レーザー加工機などの作業を手伝うこともある。「まだ先輩たちに教えてもらいながら作業しているので、まずは早く慣れるのが直近の目標です」と佐渡さん。

ものづくりのプロフェッショナルに

 ブランク班に異動して数ヶ月だが、すでに新しい業務でも手応えを感じている。
 「機械自体はプログラムで動くのですが、動かす前に中に入っているパンチを交換しなければなりません。それを交換するときに、垂直にしないと入らないようになっていて…。最初は入れるのにかなり苦戦して時間がかかっていましたが、最近は半分くらいの時間でできるようになりました」

 また、一般的な鉄工所はラインに同じ品物が流れ、同じ作業を繰り返すイメージが強いだろう。しかし少量多品種生産を強みとするコンチネンタルは、注文ロットの多くが「1個」。毎日のように新しいものを作っている。
 「まだ自分の作ったものを街で見かけたことはないですが、いろんな物を作れることは楽しいですね。同じ板の加工が2、30枚とあるほうが大変に感じます(笑)」

 入社してから、立山新工場への異動、ブランク班への異動と、常に新しいことに触れている佐渡さん。とても密度の濃い2年間だったと想像がつく。
 しかし置かれた環境に動じず、自分が任された仕事を全うする佐渡さんからは、ブレない芯の強さを感じる。「今の仕事に満足している」と話すその眼差しも、いたって真剣だ。

 業務の一つひとつが熟練されていくこと、日々新たなものを生み出すこと。これらに喜びを感じている佐渡さんは、ものづくりのプロフェッショナルとしての階段を、着実にのぼっている。