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株式会社ドアメンテナンス

お客様の喜びがダイレクトに
伝わってくる仕事です。

結婚を機に富山に移住、転職

 坂口慧さんは大阪府出身。調理専門学校を卒業した後、病院の厨房や中国料理店で働くなど10年以上、プロの料理人として活躍してきた。そんな坂口さんが一念発起して昨年、転職した。結婚を機に富山県に移住したことがきっかけだ。
 「妻は黒部市出身。専門学校時代に知り合いました。卒業後はお互いに好きな仕事に打ち込み、就かず離れずの遠距離恋愛をしていたのですが、コロナ禍になっていろんな状況が変わり、結婚しようかという話に…。私が黒部に移住し、転職先を探すことになりました」と坂口さん。

 転職先は大阪の自宅からネットで検索。飲食業界ではなく、休日と給与が安定した技術職を探すことにした。かつて祖父が大工だったこともあり、技術系の手仕事に興味があったからだ。検索ワードに「富山 技術職」と打ち込むと、機械メーカーや建材メーカーなどと並んで当社がヒットした。早速、ホームページをチェック。ドアや窓、錠などのメンテナンスを手掛ける技術者集団だと知り、ますます興味が湧いたという。
 坂口さんはすぐに会社見学と面接を申し込んだ。大阪から富山に何度も足を運ぶことはできないので「もし良い会社なら、すぐ決めたい」と思って臨んだ。

 「社員はみんな爽やかな印象。今までいろんな職場で働いてきましたが、印象は一番良かったと思います。若くてエネルギッシュな社長が面談してくれ、働きやすい職場づくりに向けて奮闘していることも良くわかりました。自分ももう35歳…。これを最後の転職にし、技術者として身を立てていきたいという気持ちが固まりました」
 面談の結果は、採用。坂口さんは新しい仕事に期待感を膨らませた。

前職は調理師だった坂口慧さん。手先の器用さと持ち前の明るさで着々と技術を習得。エンジニアとしての風格も備わってきた。
前職は調理師だった坂口慧さん。手先の器用さと持ち前の明るさで着々と技術を習得。エンジニアとしての風格も備わってきた。

親方と子方がペアになって働く

 ドアメンテナンスでは、新入社員は1年間、先輩社員と「親方子方(おやかたこかた)」の関係を結び、一緒に現場を回りながら仕事を覚えていく実務研修を行っている。坂口さんも例に漏れず、先輩とペアになり、マンションの鍵交換やドアクローザー交換などの技術を習得した。1回目は親方の作業を見学、2回目は一緒に手を動かしながら手順を把握。3回目は親方の前で一人でやってみるというやり方…。坂口さんは会社に戻った後も、端材部品を使って練習を重ねた。

 半年ほど経った9月。今度はベテランの親方の下につくことになった。一緒に行く現場は、専門知識と経験がないとできない難工事が中心になった。
 「まずは親方の洞察力のすごさに驚きました。小さな音の変化やゆがみを敏感にキャッチし、原因を究明していく姿に感動しました。ある時、自分の判断で行った作業のせいでクレームがつき、親方に迷惑をかけてしまうことがありました。でも、親方は怒ったりせず、なぜ失敗したのか、この経験を次にどういかすのかということを冷静に諭してくれました。すごく心に響きました」と坂口さん。

 メンテナンス業務には、専門技術はもちろん、お客様とのコミュニケーション能力も重要だ。このため当社では毎朝、ミーティング時にスピーチ練習を行っている。例えば「自分が好きな工事内容」をテーマに、なぜ好きなのか、どんな工事なのかを自身の経験をふまえながら話していく。自分の思いを簡潔にまとめ、人前でわかりやすく伝える力を養うのだ。

 1年近くの実務研修を経て、坂口さんは今年2月、自宅からほど近い黒部オフィスに異動した。土地勘がつくまでしばらくは先輩に同行してもらっているが、やがては一人で現場に出る予定だ。
 「不安がないといえば嘘になりますが、これまで親方から教わってきたことは確実に自分の身になっています。先日はちょっと複雑な工事に挑戦し、何とか頑張って仕上げたら、先輩から『もう任せていいね』と言ってもらえ、すごく嬉しかったです。まだまだ未熟ですが、これからも一つ一つの現場を大切にしながらステップアップしていきたいと思っています」と坂口さん。

仕事も家庭も充実した毎日

 この業界に飛び込んで1年。坂口さんが技術者として実感した成長とは、どのようなものだったのだろうか…?
 「まずは技術ですね。いろんな専門技術をもった先輩に教わることで、たくさんの技術を習得することができました。モノの見方も変わりましたし、新しい知識も増えました。あとは段取りする力ですね。この仕事は現場に行くまでの準備が全体の8割以上を占めます。現状を把握し、工事内容を決め、見積もりや資材調達をしてスケジュールを調整していく…。常に効率を考えながら動くという意識も身についたと思います」

   そして坂口さんは今、10年近い遠距離恋愛を経てようやく手に入れた結婚生活を楽しんでいる。昨年末には男の子が誕生し、3人家族になった。
 「先月、1週間の育児休暇を取らせてもらいました。妻が育児中心の生活でストレスを溜めていたので、自分が家で子供の面倒を見て、その間、買い物や食事を楽しんでもらいました。これからも二人で協力しながら子育てしていきたいと思います」

 新しい仕事と家族を得て、自分らしいライフスタイルを確立した坂口さん。富山での第2の人生は、想像以上にドラマティックだ。